
竈小説書くってよ。そんなまことしやかに囁かれていた噂は本当であった。昨年からがっつり小説書いていたんだ。なんと、四柱推命をテーマにした小説だ。読者のみんなは今興奮で、目の前が銀色になっているんじゃないかな。今日は私が販売する四柱推命小説《命の式盤シリーズ》についてご紹介させていただきます。
目次
1:作品概要
2:Amazonで販売
3:作品の雰囲気/中身を一部抜粋
4:終わりに
■:四柱推命小説《命の式盤》
私の販売させていただく小説《命の式盤》は、ジャンルはざっくりいえばファンタジー小説です。五行や通変星、相生とか本来は命式の中にあるはずのルールたちが、この物語では「力」や「技」として現れます。難しい理論としてではなく、生きる力として描かれる四柱推命の世界です。
【物語の主人公は】
平成生まれの青年・一樹。
根は優しいけど、家庭環境から、自己肯定感が低く、物事をネガティブに考えがち。
心の底に生きづらさを抱えている。
現代の価値観の中で生きる彼は、ある日突然、五行の力と向き合うことになります。
今を生きる中、生きづらい人、苦しい人、環境に恵まれない人、たくさんいると思います。主人公の一樹は、そうした生きづらさの代弁者です。
<見どころ>
・ファンタジー要素。四柱推命を知らない人でも物語を楽しめる。
・アクション要素。五行や命式が登場し、四柱推命を知る人は、おお!と感じてくれるはず。
・ミステリー×ホラー要素。五行理論を使って事件の謎を解いていく部分があり、手をかけました。
・社会背景。家庭環境、政治、個人の孤独、世の中の理不尽を描いています。読者の皆様と共通する痛みがあるかもしれません。
■:作品と値段
作品は現在3部作まで作っています。
Amazonで販売中です。リンク先からご購入いただけます。
■第一部:命の式盤―因果の書―
【ストーリー】
令和の日本。国家は死者の声を政治に反映させる──「幽霊参政権」を導入した。しかしそれは、命を救うための制度ではなく、亡者による国家支配という狂気の始まりだった。
一樹──五行の“気”を操る異能を持ちながら、その力の意味を知らずに生きてきた青年。その手が触れた瞬間、人の命が繋がる。太郎との出会いによって、止まっていた因果の歯車が動き出す。
しかし、国家の闇を知る者たちに気づかれ、二人は追われる身となる。住む場所を失い、世界そのものが敵に変わったとき、彼らの前に現れる人物たち──橋田、宮崎、その娘・ちえ。そして、すべての鍵を握る存在、卑弥呼。
少しずつ、三人は国家の闇の核心へ迫る。なぜ自分たちが追われ、何が起きているのか。やがて辿り着く、意外な真相。
五行、謎解き、心理サスペンス、ホラー、アクション──全てが詰まった処女作。
絶望の国で、希望はまだ灯せるのか──。
作品特徴:世界観強め、謎解き、コミカル要素あり。
文字数:7万文字弱。
料金:500円。
挿絵あり。
■第二部:命の式盤―七歳の選別者―
【ストーリー】
「この空に渦巻くのは、人の業――そして災厄。」
衝撃のラストを経て、一樹、太郎、ちえは生き延びていた。
しかし、日常も、心の支えも、すべて奪われたまま。
それでも嘆く暇はない――災厄を象徴する「何か」が目覚めたのだから。
人間の政治、生活、虐待、いじめ、歪んだ感情――すべてが空に吸い込まれ、濁った渦を巻き起こす。
三人は過去の傷と向き合いながら、人として戦う決意を固める。
益田、七海、魁、そして国家や国屈指の五行実力者たちも巻き込み、人間対災厄の戦いが今、始まる。
理不尽な世界で生き抜くとは何か――心理サスペンスの圧巻がここに。
作品特徴:心理描写強め、ダーク、哲学思想強め。
文字数:7万文字ちょい。
料金:600円。
挿絵あり。
■第三部:命の式盤―知の呪い―
【ストーリー】
北海道の伝承――荒魂修羅姫伝説。
荒れ狂う大地に突如現れた美しい女は、火を操り、寒さを和らげ、獣を追い払った。
村人たちは彼女を神の使いと呼んだ。しかし、その出現とともに、村の美しい女たちが次々と姿を消す。
偶然北海道を訪れていた一樹と太郎は、その伝承を耳にする。
伝承は、現代にまで続く本物の呪いとして人間社会に浸透していた――その裏には、広大かつ緻密に組まれた筋書きがあった。
五行使いとして命式の扱いに熟練した一樹と太郎。かつてない強敵との死闘が、今、幕を開ける。
謎を解く者、戦う者、守る者――三者三様の行動が、地球の未来を守る戦いへと発展する。
太郎と魁のタイムトリップの理由も明らかに。ミステリーと超バトルが交錯する、新感覚ファンタジー。
作品特徴:アクションとキャラの魅力に振り切った。
文字数:12万文字ちょい。
料金:800円。
挿絵あり。
■:文章の雰囲気
※文章の雰囲気、作品から抜粋いたします。
命の式盤:第3部―知の呪い―
四章狙う食神
小樽港に降り立った瞬間、空気が変わった。
車の窓を少し下げると、冷たく澄んだ風が流れ込んでくる。
肺の奥まで届く匂い。潮と土と、知らない植物の気配。
――ああ、違う。
フェリーの重たい揺れも、胸に引っかかっていた焦燥も、風に削り取られていく。
夢の輪郭が、急速に薄れていった。
「なんやここ……外国みたいやにゃあ」
太郎が声を上げる。
一樹は小さく笑った。
「うん。圧倒されるね」
小樽運河。
水面に反射する光、古い倉庫群、観光客のざわめき。
北の街は、景色そのものが完成している。
――北の大地、趣、半端ないな。
そう思いながら、土産物屋に入る。
ガラス細工やクラフトビールを眺め、ちえに何を買っていこうか迷う。
「ちえには……この小さいガラスのペン立て、可愛いかも」
指先で触れてくすぐったく笑う。ふと黒木ゆかりの顔が浮かび、指が止まる。
七海には――太郎が、からかうように「ビールかな?」と言うと、一樹は笑いながら首を振った。
二人で冗談を言い合い、包装紙を選ぶ。
その視線の端に、少し影の濃い通行人が映った。
目が合った気がしたが、すぐに別の方向へ歩いていった。
「……気のせいか」
観光客の笑い声、店内の明るい光、並ぶお土産。
「……こんなこと、久しぶりだな」
一樹が小さく呟くと、太郎も肩をすくめ、はしゃいでいる。
半身揚げをかじり、横で小樽ビールを煽る太郎を眺める。
酔いの回りが早い。顔がもう赤い。
広場に出ると、風が抜けた。
自然の空気に包まれ歩きながら――
――ここに定住するのも、悪くないな。
そんな現実味のない妄想が、ふと浮かぶ。
スマホの電源、切ってしまおうか。
だが結局、一樹はカメラを起動した。
景色を一枚。
ちえと黒木ゆかりに送ってやろうと思った。
シャッターを切った瞬間、フレームの端に人影が入り込む。
ベンチ。
本を読む女。
カウボーイハット。金髪。Gジャン。サングラス。
日本人か外国人か、判別がつかない。
だが、妙に目を引いた。
――まあ、いいか。
緊張しながら送信する。
采は、もう投げられた。
坂の街、小樽。
急斜面に並ぶ家々を眺めながら太郎と話す。
「冬のタクシー、地獄やろな」
「そりゃそうだろ」
そんな取り留めのない会話をしながら、反対方向――ニセコへ向かう。
車を走らせると、景色は一気に開けた。
だが道沿いには、エコエコパネルが規則正しく並び、視線を奪う。
――景観、台無しやな。
一樹は首を振る。
今は、政治のことは考えない。
そう決めたはずだった。
だが、田中陽子の〈黒豹包囲網〉が、益田たちに、そして自分たちに、どう影響するのか。
考え始めると、スマホの電源は落とせなかった。
車内では、Bluetoothで繋いだ音楽が流れる。
太郎が横で、操作の仕組みを根掘り葉掘り聞いてくる。
「これ、どうなっとるんや?」
「だから――」
昭和の曲を混ぜながら、道は続く。
景色に飽きた太郎が言った。
「運転、代わろか?うまいぞ」
「無理。絶対無理」
どんな感覚だよ、と内心で突っ込みながら、ハンドルを握る。
空は高く、道は長い。
今はまだ、夢の影は追いついてこない――そのはずだった。
ニセコ付近で、道を失った。
カーナビは淡々と進行を指示するが、表示された先には鉄製のゲート。
冬季封鎖。
引き返す。少し走る。
また、封鎖。
「……やばくない、これ」
一樹が呟くと、太郎が即座に口を挟む。
「そっちやない、今の分岐戻れ」
「いや、ナビは――」
「ちゃうちゃう、こっちやって」
余計に分からなくなる。
民家はもう、入口付近で途切れていた。
見渡す限り、山。木。雪。
距離感がおかしい。スケールが、本州のそれじゃない。
――遭難。
その言葉が、唐突に浮かぶ。
冗談じゃない。
減速した瞬間だった。
前方、豪雪に霞む木々の隙間に、黒い影があった。
二人同時に、息を止める。
――熊。
脳裏に浮かぶ知識。
本州にはいない。
体長二メートル超。体重三百キロ超。
羆。
一樹の思考が、そこで一瞬、固まった。
だが――太郎は違った。
「……かまん」
低く、即断。
「行ってみい」
「は?」
「今の俺らやったら、羆より強い」
冗談じゃない。だが、声に迷いはなかった。
一樹は深く息を吸う。胸の奥が、妙に冷えていく。
――確かに。
時空間。
五行。
今の自分たちは、ただの観光客じゃない。
車を降り、ゆっくりと近づく。
距離が縮まるにつれ、違和感が確信に変わった。
動かない――死んでいる。
腹部が異様に抉られ、臓器は抜き取られていた。
ただの死体じゃない――何者かの痕跡だ。
その場で、一樹は立ち止まった。
空気が、違う。
「……匂うな」
太郎が呟く。
五行。微かだが、確実に残っている。
しかも――点在していた。
木々の間、雪の上、遠くへと続く。
道標だ。
「相当やな……」
太郎が息を呑む。
この規模の羆を、しかもこんな形で“処理”できる使い手。
一樹はスマホを取り出す。電波はかろうじて入る。地図を見る。
「……このまま進めば、ニセコの街に抜ける」
声が、自然と早くなる。
「行こう。ここ、長居したらまずい」
太郎も頷いた。
車に戻り、エンジンをかける。
雪を噛み、タイヤが唸る。
背後に、視線を感じた気がした。
だが振り返らない。
山は、何も語らない。
しかし確実に、何かが先に進んでいる。
そのころ――
宮崎は、何度目か分からない発信ボタンを叩いていた。
コール音。
切れない。
「……出ろ、一樹」
端末を耳に押し当てたまま、視線だけが彷徨う。
脳裏に、白い映像が閃いた。
雪。
北海道。
――豪雪。運転に集中すれば、気づけない。
分かっている。
だから、胸の奥がざわつく。
少し前。
吉永との短い通話。
『竜崎が、動いた』
それだけで、全てが繋がった。
殺し屋・竜崎。
僧衣を纏う破戒僧。
政治の裏に必ず現れる影。
幽霊参政権に反対した政治家が、
事故でも、自殺でも、病死でもない形で消えていく。
共通点は一つ。
――その背後に、竜崎がいたという噂。
証拠はない。
だが、生き残りもいない。
「……最悪のタイミングだ」
黒豹包囲網が広がる今。
竜崎が北海道へ向かった理由は、黒豹の討伐。
それだけのはずだ。
――なのに。
一樹と太郎の顔が、頭から離れない。
さっきまで見ていた前半の夢。
二人が、確実に“危険な目に遭う”光景。
偶然で片づけるには、重すぎた。
宮崎は、祈るようにスマホを見つめる。
――無事でいろ。一樹。太郎。
そのとき。
「追われてるね」
声が、背後から落ちてきた。
來斗。
いつの間にか、部屋の隅に立っている。
宮崎が振り向く。
「……何が見えた」
來斗は肩をすくめた。
軽い動き。だが、目は冴えきっている。
「大きい流れに、勝手に共鳴するんだよ」
一拍。
「北海道。
強烈な“殺意”が、二人の周りに来てる」
宮崎は、息を呑んだ。
一瞬、間。
「――相当の腕だよ」
來斗は窓の外を見る。
そこにあるのは、ただの夜景のはずなのに。
「たぶん……もう接触圏内」
宮崎は、再び発信ボタンを押す。
コール音。
虚しく、流れる。
繋がらない。
◆
宿泊先から少し離れた神社に、車を止めた。
エンジンを切った瞬間、世界の音が死んだ。
街灯はなく、雪明かりだけが石段を淡く浮かび上がらせる。
二人で、静かに登る。
音が、消えた。風もない。鳥の気配もない。
あるのは――自分たちの足音だけ。
それが、やけに浮いて聞こえた。
「……近いな」
太郎が低く呟く。
返事をする前に――石段の上で、別の足音が重なった。
じゃり。
布擦れ。
乾いた金属音。
錫杖が石に触れる音。
闇の奥から、男が現れる。
袈裟をまとい、手には古びた錫杖。
もう片方の手には写真。
男は写真を見てから、二人を交互に見た。
まるで既に結論が出ているかのように。
「……お前たち二人で、間違いないな」
低く響く声に、感情の揺れはない。
「……誰や」
太郎が問いかける。
男は答えず、錫杖を構えた。
その所作は――運命を縫い留めるかのようだった。
瞬間、一樹の背筋が粟立つ。
――こいつだ。
ニセコの山中。
羆の死骸のそばで感じた、あの重く黒い気配。
土。そして、淀んだ“丁”。
太郎が短く息を吐く。
「……行くで」
次の瞬間。炎が奔った。
太郎の気が、火となって男を呑み込む。
だが――燃えない。
炎は弾かれ、裂け、空間に散った。
気づいたときには、男は太郎の背後に立っていた。
「な――」
錫杖が振るわれる。
一樹が踏み込む。
水の気が脚に集まる。
蹴りが、空気を裂く。
――当たらない。
男の周囲で気が渦を巻き、衝撃を殺す。
「合わせろ!」
「おう!」
丙が放たれる。
同時に、壬が重なる。
相剋のはずの二つが、光を帯びて噛み合う。
一瞬。男の動きが止まった。
――いける。
だが、地面が唸る。
重く鈍い圧が、足元から叩き上げられる。
二人まとめて弾き飛ばされた。
背中で石段を転がり、雪に叩きつけられる。
「……っ、つよ」
太郎が歯を食いしばる。
五指以外に――こんな使い手が、まだいたのか。
男はゆっくりと歩み寄る。
「お前たちは、ここで死ぬ」
錫杖を地につき、告げる。
「理由を教えてやる。――弱いからだ」
気配が歪む。
土の中から、別の性質が滲み出す。
――食神。
獣の牙を思わせる、粘ついた圧。
一樹の気が削られ、太郎の炎が流される。
――練度が、違う。
男が、喉の奥で笑った。
「ふは……」
太郎が立ち上がる。
雪を踏みしめ、息を吐く。
「……よっしゃ」
一樹を見る。
「ほな、本気でいくか」
「ああ」
男の目がわずかに見開かれた。
空気が変わる。
神社全体が、彼らに合わせて息を吸ったように軋む。
風が、吹き荒れた。
二人が同時に呼吸を合わせる。
月支元命――解放。
一樹の守りが研ぎ澄まされ、
太郎の技が跳ね上がる。
「調子乗るなよ、おっさん」
連携が噛み合う。
一撃、一撃。
確実に男を押す。
後退。確かに後退している。
だが――男は笑った。
「二人同時は……難しいな」
一拍。
「だが、必ず殺す」
錫杖が虚空を叩く。
次の瞬間。男の姿は闇に溶けた。
雪だけが静かに降っている。
太郎が舌打ちした。
「あれは……飯田が送り込んできた刺客やな」
「……ああ」
飯田は全貌を打ち明けていた。
それでも、協力しなかった。
その答えが、これだ。
二人は何も言わず、石段を下りる。
神社は、再び無音に戻った。
■終わりに
二年後の若者の選挙の投票率を上げたいとの思いがつよく、作品内に令和初期からの日本の政治背景を入れています。